福岡高等裁判所宮崎支部 昭和25年(う)460号・昭25年(う)461号 判決
訴訟記録を調べてみれば、原審第二回公判調書には、原審は、検察官事務取扱の起訴状朗読後、被告人に対し、黙秘権乃至供述拒否権のあることを告げるとともに、被告人が陳述すれば、自己に不利益な証拠ともなり、又は利益な証拠ともなるべき旨を告げているが、同第四回公判調書には、原審は、検察官事務取扱の昭和二十五年七月六日附追起訴状の朗読後、被告人に対し同被告事件についても、さきに告知したと同様黙否することもできるし、陳述することもできる旨を注意した上、同被告事件について陳述することがあるかどうかを問うた旨の記載があるだけで、控訴趣意書第一点における所論のように、陳述すれば、自己に不利益な証拠ともなり、又は利益な証拠ともなるべき旨を告げた形跡は存在しないところである。しかし、前述のような審理の経過においては、原審が所論のような事実を告げなかつたからといつて、直ちに被告人の権利保護のために欠くるところがあるということはできないと解するので、その後になされた被告人の供述及び証拠として取り調べた供述調書の証拠能力のあることは多言を要しないところである。さすれば、右供述又は供述調書を証拠として引用しても何等差し支えないところであるから、論旨は採用することを得ない。